この『娘道成寺』上演略史は、初代中村富十郎が初演した『娘道成寺』を上演した記録の中で、「白拍子実は何々」または「白拍子何々」というようにその時の役名が分かっているものを取り上げるものである。これは、現在『娘道成寺』に出てくる白拍子の役名は「花子」に固定されているが、古くはこの役名が「花子」に定まっていなかったことを示すのをその目的とする。 * 取り上げる範囲は富十郎初演から明治元年(1898年)以前まで。 * 内容は以下の順で並べた。 * 上演した年と上演しはじめた月(旧暦) * 上演した劇場名 * その時上演した娘道成寺の外題 * 演じた役者とその役名 * 娘道成寺を上演した時の芝居全体の外題名および備考